ぼくのおとうさんは、よくわらう。
けさの ごはんのときだって、
「きょうのめだまやきは まんまるで、
まるでフータの ほっぺみたいだな、わっはっは!」
って、おおきなこえで わらいだした。
あんまりたのしそうだから、
つられて ぼくとおかあさんも
「ほんとうだ、ぼくのかおから
とびだしたのかな、あっはっは!」
「そうね、どっちが めだまやきか
わからないわ、おっほっほ!」
って、わらっちゃう。
おとうさんは、テレビをみても
しごとの しょるいをみても、
あめのひだって どろがはねたって、
「わっはっはっは!」
と、わらってる。
ふしぎにおもって ぼくはきいたんだ。
「なにがそんなに、おもしろいの?」
すると おとうさんは いったのさ。
「いいかい フータ。
どんなことだって、よーくみれば、
ちょっとは おもしろい ぶぶんが あるものさ。」
ってね。
おとうさんの そばにいると、
だれでも みんなにこにこ えがおになっちゃう。
そういえば、
いつか おかあさんが いっていた。
「おとうさんはね、
ひとをたすける おしごとをしているのよ。」
おとうさんは
みんなを えがおにできる ヒーローみたい。
ぼくも、
おとうさんみたいな ヒーローになれるかな?
よーし、おおきく いきをすって…。
「わっはっはっは!」
ぼくも おとうさんの まねをして、
おなかのそこから わらってみたよ。
なんだか からだは ぽっかぽか、
なんでも できちゃいそうな むてきなきぶん。
「わっはっはっは!わっはっはっは!」
すると、あれれ?
おおきくあけたくちから、
にゅーっと なにかが でてきたよ?
それは きいろい ひかりのたま。
ひかりのたまは くちから しゅぽんと とびだして
ぼくの あたまのうえで
まるくなって ぷかぷかういた。
たまは ふるふる ゆれて
まるで にこにこ くすくす
わらっているみたい。
ぼくは、
すぐに おとうさんに ほうこくした。
おとうさんは いったんだ。
「はっはーん。
これは、フータの わらいだまだな。
フータが わらうたびに、
くちから どんどんとびだすぞ!」
それをきくと、
ぼくの わらいだまは うきうきするみたいに
きゅきゅきゅるんっと まわった。
そして ぱくっと われて
おとうさんと おかあさんのくちに すいこまれた!
ごくん。
ごくん。
わらいだまをのみこむと ふたりは
いままでで いちばん おおきなこえで わらいだした。
「のみこんじゃったぞ、わっはっは!」
「おもしろい あさごはんね、おっほっほ!」
こんどは ふたりのくちから、
みずいろと ももいろの わらいだまが、
ぽんぽんぽんぽんと とびだした!
わらいだまは
だれかが わらうたびに どんどんふえていく!
ぼくたちが ずっと わらっていたから、
へやは あっというまに たまだらけになった。
ぷかぷかういた わらいだまは
てんじょうに たまって
とうとう おとうさんと おかあさんのかおが
うもれて みえなくなっちゃった!
おなかから したしかみえない
おとうさんが いったんだ。
「わらいだまを すいこむと、
みんな おもしろいことを みつけて
わらってしまうんだよ。
そうだフータ、
わらいだまを おともだちに
わけてあげたらどうだい?」
「うん、おとうさん。
ぼく、わらいだまで ヒーローになるよ!」
ぼくは、
うちで いちばん おおきなふくろに、
ありったけの わらいだまを つめこんで、
そとへ とびだした!
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げんかんを でると、
となりの いえの ミイちゃんが、
ミイちゃんママに おこられていた。
「そんなところに えをかいたら だめじゃないの!」
「こんにちは、ミイちゃん、ミイちゃんママ。
どうしたの?」
「こんにちは、フータくん。
ミイったら、おうちの へいに
おおきな らくがきを してしまって。」
ミイちゃんは しょんぼりと したを むいている。
たいへんだ、ミイちゃんを たすけなきゃ!
ぼくは、ふくろから
きいろい わらいだまを ひとつ とりだして
ミイちゃんママに わたした。
すると、
わらいだまは かってに とびあがって、
ミイちゃんママの くちに しゅるんっと すいこまれた。
ごくん。
ミイちゃんママは びっくりして、
ちょっと めを まるくしていたけど、
へいの らくがきを よーくみていった。
「ちいさな めと おおきな おはな…、
もしかして、これ パパのにがおえじゃない?
そっくりじゃないの、ほっほっほ!」
ミイちゃんママが わらいだした!
こんどは ミイちゃんママの くちから
あかい わらいだまが ぽぽぽんと とびだして、
なきだしそうだった ミイちゃんの
ちいさなおくちに すいこまれた。
こくん。
「ママ、そうなの!パパなの!
ママのおかおも かくつもりなのよ、ウフフフフ!」
ミイちゃんのおくちからも、
ちいさな オレンジの わらいだまが
ぷぷぷぷっと とびだした。
ぼくも だまっちゃいられない。
「へいに かぞくのかおを かいておいたら、
おうちの めじるしに なるんじゃない?」
「あっはっは!いい かんがえね、フータくん!」
ミイちゃんの おうちは、
あかと オレンジの わらいだまで いっぱい、
まるで はなばたけ みたいになった!
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こうえんにいくと、
ケンタとカンタが ケンカをしていた。
「どうしたの?」
「ケンタが すべりだいに わりこんだんだ。」
「カンタは もう5かいも すべっただろう?」
ふたりとも プリプリ ツンツン している。
ぼくは ふくろから
とっておきの みずいろの わらいだまをだして、
ふたつにちぎって ケンタとカンタにわたした。
すると やっぱり、
わらいだまは かってに とびあがって、
ふたりの くちに ぴゅるっと すいこまれた!
ごっくん。
ごっくん。
すると、
ケンタがきゅうに いいことを おもいついた。
「ねえ、いっしょに つながってすべるのはどう?
ジェットコースターみたいで おもしろいかも、
あっはっは!」
「そうだね、みんなでつながったら、
すごくながい ジェットコースターになる!
はっはっは!」
あたらしい あそびを おもいついた!
さっそく ケンタと カンタと ぼくは、
ちかくにいた ゴンタと キンタと
ユータと テッタとつながって、
「こうえん せかいいち ながながコースター」
になってあそんだ!
さいごには こうえんじゅうの
みんなが つながったから
れつが ながすぎて じめんについちゃった。
でも、
みんなの くちから とびだした
みどりや あおの わらいだまが いちれつになって、
こうえんの はじまでつながる
ながいながい すべりだいに なってくれたよ!
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すべりだいを おりると、
こうえんの むかいの しょうがっこうで、
じゅぎょうが はじまる かねの おとがした。
ぼくたちが
こんどのはるに にゅうがくする しょうがっこうだ。
よし、みんなで
しょうがっこうの ていさつに いくとしよう!
おきょうしつの まどを のぞくと、
しかめっつらの せんせいが、
むずかしい すうじや、せんや ばつを、
たくさん こくばんに かいていた。
なるほど、
これが うわさの 「さんすう」のじゅぎょうだな。
ぼくたちは、ぶるっと ふるえあがった。
「では、あなた、
まえで けいさんを してみてください。」
よばれた おんなのこは、
こくばんのまえで けいさんを はじめた。
でも、とちゅうで わからなくなって だまってしまった。
よし、わらいだまのでばんだ!
ぼくたちは、みんなの わらいだまを
ひとつに まとめて、
ほそーいひもにして
まどの すきまから なかへ ながしこんだ。
せんせいのくちは へのじにつぐんでいたが
ほそーいわらいだまは、
せんせいの はなのあなから
するするっと すいこまれた。
すると
せんせいの かたいかたい へのじのくちが
むずむずとうごいた。
そして、とつぜん ぐんにゃりと ひらいて…、
「どわっはっは!」
と、わらいだした!
「なるほど なるほど、
こたえは まちがっているが、
こんな かんがえかたは みたことがない。
せかいで たったひとつの かんがえかただ!はっはっは!」
ごうかいに ほめてくれた!
すると、
せんせいの くちからでた とくだいの わらいだまが
みんなのうえで ぱーんと はじけた。
おきょうしつに わらいだまが ふりそそいで
みんな いっせいに ふきだした!
こくばんのまえの おんなのこは、
「せんせい、わたし
もうすこし かんがえてみる、うふふふふ!」
と、じしんをもった!
げんきな おとこのこが、
「せんせい、
ぼく もっとおもしろいこと おもいついた!あっはっは!」
と、とびだしてきた。
ぼくも わたしも、
おともだちぜんいんが たちあがって、
こくばんで けいさんを はじめちゃった。
おきょうしつは、おおさわぎ。
なないろの わらいだまが どんどん たまって、
まどから こうていへながれだした!
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こうていでは、
たいいくの じゅぎょうの まっさいちゅう。
ひとりずつ にがてな とびばこを とんでいる。
そこへ、
おきょうしつの わらいだまが とんできて
みんなを つつみこんだ!
「わっはっは!」
ももいろの わらいだまをすった おんなのこが、
わらった いきおいで とびばこをとべちゃった!
「5だんがとべたわ、あっはっは!」
とべた おんなのこから きんいろの わらいだまがでて、
つぎのこに すいこまれた。
「わっはっは!」
その つぎのこも
「あっはっは!」
そのまた つぎのこも
「おっほっほ!」
みんなが 5だんのとびばこを とべちゃった!
たいいくのせんせいは、
めを まんまるにして おどろいている。
たくさん わらったら、
むずかしいことも、
なんだか ひょいっと できちゃうみたい。
こうていに
いろとりどりの わらいだまが どんどんふえて、
ひこうせんみたいになって、まちへとびだした!
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パンやさんは、
うっかり パンをやきすぎて
かたくなっちゃった。
でも きいろいわらいだまを すいこむと…?
「そうだ!かたパンというなまえで、
うりだしちゃおう、あっはっは!」
あたらしい アイデアがうかんだ!
ケーキやさんは、
できたての あまいケーキを ゆかにおとしちゃった。
でも クリームいろの わらいだまを すいこむと…?
「ゆかが あまいにおいになったわね!
くすくすくす!」
しっぱいが なかったことになった!
ころんで ないていた ちいさなおんなのこが、
まっかな わらいだまを すいこむと…?
「ころんだら、ありさんと めがあったわ!
しんぱい してくれてるの?うふふふふ」
めずらしい おともだちができた!
まちいちばんの へんくつじいさんが、
きんいろの わらいだまを すいこむと…?
「わしは へんくつの きんメダルじゃの、
ほうっほっほっほ!」
じぶんのことが だいすきになった!
わかったぞ!
わらいだまを すいこむと、
みんな わるいきもちがふっとんじゃうんだ!
わっはっは
あっはっは
たのしいね
うれしいね
だいすきだね
こわくないね
みんなの えがおをみていたら、
ぼくも あっはっはって わらっていたよ。
きづいたら、
わらいだまの ふくろは からっぽ。
もう、おうちへ かえろうっと。
「フータ、きょうは たのしかったかい?」
「うん、おとうさん。
いままでで いちばん たのしいひだったよ。」
「そうか、それは よかったな。わっはっは!」
「あっはっは!」
「おっほっほ!」
ぼくが ヒーローになれたかは
よくわからなかったけど、
それは、まあ いっか!
そのとき、おかあさんが いったんだ。
「ねえ みて、おとうさん、フータ。
てんきよほうで
おもしろいことを いっているわよ。
きょう にほんで はっせいした なないろのくもが、
うみをわたって、
がいこくへ ひろがっています だって!
おもしろいわね、フフフフフ!」
「ほんとうだね、わっはっはっは!」
おしまい
